yamodoki

modokiさんのエントリー

id:yamodokiのミニブログ

--- fans

yamodoki

勝手に引用

>>
「なんで流し素麺なんだ! そんなものがなんで必要なんだ!」
「夏の風情よ! 幻想的で無意味なところに味があるのよ!」
「もう十分だ! 無茶を言うのもたいがいにしろ!」
 山田川敦子は絵の具を彼に投げつけた。
「これができないと我慢できないの! この鼻孔から溢れがちの絢爛たるイメージをどうしてくれるの! 憤懣やるかたないのよ! 私、脳味噌がもうぱんぱんよ!」
 満座が注視する中、小長井は山田川に躍りかかり、両の鼻孔に指をさそうとした。意外に形の良い鼻をひくつかせて、彼女は悲鳴を上げた。「なにする!」
「内圧で脳味噌を吹っ飛ばしてやる。亡き者にしてやる」
「亡き者にされてたまるか!」
 高藪さんに羽交い締めにされた小長井に向かって、山田川は「これは最大のチャンスなのよ」と言った。「お願いだから一回だけ、好きなだけやらせてよ」
「劇団でやればいいだろう! 俺を巻き込むな」
「巻き込まれてくれるのは、あなたぐらいでしょう!」
 さすがの小長井も黙った。
 そうまで言われてはやむを得なかった。
<<
(asin:4087468453)