yamodoki

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勝手に引用

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 なぜ僕は、何かを犠牲にしていると判っていても、プロレスを続けているのだろうか。
 肉体の酷使、夜も眠れないようなプレッシャーとの戦い。もし身内に不幸があったとしても、目の前にリングがあり、お客さんがいて、入場曲がかかれば、僕は躊躇なく花道を進んでいくだろう。
 小さい頃、僕は目立ちたがり屋だった。無茶をしても、人の目を引きたかった。勉強も普通、運動能力も普通、そんな僕は毎日何かサプライズを考えている子どもだった。
 今になって、ようやく分かった。僕は人に期待されたかったんだ。友達に、両親に、そして、弟に……。期待されていないという不安な気持ちが強かったからこそ感じる、期待されることへの喜び。プロレスの声援とは、すなわち期待そのもの。応援があれば、何度だって立ち上がれる。プロレスラーになって改めて心に誓ったこと、それは「期待には期待以上で」だった。なのに必要とされているとき、いつも家族のそばにいない。それが今の僕だ。
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棚橋弘至『(小説)全力兄弟』asin:4107902420