yamodoki

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「親父がね、仕事が終わった後、毎日ビールを一本か二本飲むんです。あるとき、俺はこの歳まで酒を一度も旨いと思って飲んだことがないと言った。(中略)酔っぱらって帰ってよくお袋と喧嘩するのに、旨いも不味いもないだろうとその時は思っていた。今から考えれば親父なりの苦しさがあったのかなと」
 長州は少し間を置いた後、笑みを浮かべながら続けた。
「旨い酒でも楽しい酒でも、いつか底が見えますよ」
「底が見えるとは?」
ぼくは訊き返した。
「人間はみんな永遠に酒を飲めると思っているんでしょうね。やっぱり勢いがいいときは、どんな仕事の世界でも旨い酒を飲めます。でも、いつまでも旨い酒は飲めない。だんだん透明になって底が見えてきた」
 そして「ああ、ぼくは底が見えていますね」と小さく頷いた。
「だから缶珈琲で割ってしまおうかと」
 長州は泡盛を珈琲で、黒い液体が入ったグラスを揚げた。
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