RASEN-KAIDAN

俊成(毒饅頭)さんのエントリー

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今日読んだ本


小熊英二 『私たちはいま どこにいるのか』 毎日新聞社 2011年

超分厚い研究本を得意とする小熊英二の時評集。奇しくも東日本大震災の直前に戦後を総括するタイミングで出版された。なぜか見田宗介の引用が目に留まりました。

《北米先住民は白人によって強制移住させられ、祖先が生きてきた山河から離れることで、祖先や子孫とのつながりから切り離され、空虚な『個人』になってしまうことを嘆き悲しんだ》
確かに白人が先住民を迫害したのですが、実は白人も北米大陸へ移住した時点で、イギリスをはじめとするヨーロッパの歴史や国土との関係が切れてしまい、先住民よりも早く空虚な『個人』になっています。たとえ異民族への差別はあったとしても、土地を移住させることで、先住民に対して孤独感を抱える自分たちと同じ思いをさせたと言えるのではないでしょうか。

なぜそんな八つ当たりをしたかと言えば、前のエントリーの元在特会員が話した言葉がヒントになります。
『バラバラの自分たちに比べて、仲間同士で助け合える在日が羨ましい』
これを無理やり北米大陸に当てはめると以下のようになります。
『歴史から切れてしまった自分たち白人と比べて、歴史ある国土と自然が身近にある先住民が羨ましい』

羨ましいなら教えを請うべきところを、嫉妬の暴走から先住民虐殺に至ったと考えてしまいました。正に『怒られそうなことを・・・』になりましたが、そうならないように自制しなければならいと実感します。こんな話を書きましたが、この本の内容は戦後史と現代政治の分析です。