今日読んだ本

"今日読んだ本" でひとこと

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Talkiyan_Honin_Jai

今日読んだ本

昨日から今日にかけて、『移動迷宮―中国史SF短編集』を読んでました。
面白い作品ばかりでした。センスオブワンダーですよね。
中国史SF短篇集-移動迷宮 (単行本) 電羊齋さんの感想 - 読書メーター
polarbearpuffin

今日読んだ本

「モモンガの件はおまかせを」
似鳥 鶏(にたどり けい)文春文庫
動物園の飼育員さん達が活躍する、動物絡みのミステリー。シリーズ第4弾。
http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/p/polarbearpuffin/20190321/20190321132053.jpg
heavenhell8

今日読んだ本

伊坂幸太郎「アイネクライネナハトムジーク」
読書リハビリ本。
サクッと読みやすくて、それでもやっぱり伊坂作品でよかったです。
斉藤さん、私も会いたいなー。どこにいるのかしら。
そことそこがそう繋がって、でもそこは関係ないのか。となったり。
読みやすいしさっぱりしていていいね。映画も楽しみです。
heavenhell8

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「持たざる者」金原ひとみ
このタイミングでこの本を読んだことをちょっと後悔している。
震災をきっかけに人生が変化した四人の男女のお話。
みんながみんな何か空虚や焦燥感を抱えている。
持っている人を羨みながらもその人も他人を羨んだり、悩んだり、何かを抱えている。
いつも物事も相手の気持ちも何もかも本当のことなんてわかりっこない。
4章はちょっと毛色の違うお話でした。
Talkiyan_Honin_Jai

今日読んだ本

本の雑誌編集部編『絶景本棚』本の雑誌社。
蔵書群と本棚にただただ圧倒される。
本棚に各人各様の個性が現れていて面白い。自分もこういう空間を造ってみたいと夢見てしまう。
ただし、経済的事情および住宅的事情により実現は不可能ですが(^_^;)
Talkiyan_Honin_Jai

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本の雑誌編集部編『絶景本棚』本の雑誌社。
蔵書群と本棚にただただ圧倒される。
本棚に各人各様の個性が現れていて面白い。自分もこういう空間を造ってみたいと夢見てしまう。
ただし、経済的事情および住宅的事情により実現は不可能ですが(^_^;)
RASEN-KAIDAN

今日読んだ本

『太田愛/天上の葦 上・下』 (2017年)
・人気のあるニュースキャスターをスキャンダルに嵌めるよう命じられた公安刑事。70年以上前にメディア検閲を行った軍人と検閲を受けた記者。謀略に抵抗した刑事と偶然出会った老人たちが刑事の逃亡を助ける。弾圧を受けただけではなく、自主規制したことや嫌いな人を憲兵に密告したことの後悔を動機にしたことが素晴らしい。
・大手メディアが無抵抗なのは去年流行った『忖度』ゆえ。海外メディアと動画が突破口になったりするが、現実はそうもいかない。
・逃亡先は岡山県の離島。本書のテーマではないけど、閉鎖的な古い共同体だとしても、それゆえに国家の横暴には抵抗する気骨も持ち合わせているかもしれないと思った。是非とも映像化してほしいが、老人の多くが90歳代になるのでかなり困難なのが残念。(アニメでもいいから)
日常を奪い社会を一変させる犯罪…「相棒」シリーズの脚本で知られる太田愛さん最新作は? | ダ・ヴィンチWeb
RASEN-KAIDAN

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『太田愛/天上の葦 上・下』 (2017年)
・人気のあるニュースキャスターをスキャンダルに嵌めるよう命じられた公安刑事。70年以上前にメディア検閲を行った軍人と検閲を受けた記者。謀略に抵抗した刑事と偶然出会った老人たちが刑事の逃亡を助ける。弾圧を受けただけではなく、自主規制したことや嫌いな人を憲兵に密告したことの後悔を動機にしたことが素晴らしい。
・大手メディアが無抵抗なのは去年流行った『忖度』ゆえ。海外メディアと動画が突破口になったりするが、現実はそうもいかない。
・逃亡先は岡山県の離島。本書のテーマではないけど、閉鎖的な古い共同体だとしても、それゆえに国家の横暴には抵抗する気骨も持ち合わせているかもしれないと思った。是非とも映像化してほしいが、老人の多くが90歳代になるのでかなり困難なのが残念。(アニメでもいいから)
日常を奪い社会を一変させる犯罪…「相棒」シリーズの脚本で知られる太田愛さん最新作は? | ダ・ヴィンチWeb
RASEN-KAIDAN

今日読んだ本


今年読んだ本のベスト8 ②】
[小説部門ベスト3]
〈3〉鈴木光司/エス (2012年)
〈2〉松本清張/神々の乱心 上・下 (1997年)
《1》太田愛/犯罪者 上・下 (2012年)

〈3〉十代の頃に読んだリング・シリーズの続編。種明かしにゾクゾクするが、姉妹篇の『タイド』は逆に広げすぎ。
〈2〉昭和初期の新興宗教を舞台にした殺人。現代の総理周辺にも宗教の人脈が目立ち、その機関紙に皇族が出てたとなりゃ読まずにはいられない。
《1》著者は相棒のメインライターの一人。ベビーフードから発生した難病。許認可を得るために政治家の人脈も利用する製造メーカー。モリ・カケの直前に読んだのでガツン!と来たよ。社会・政治部門と合わせた総合1位もこれで決まりだ!

小説はあまり読んでいないのでベスト3が限界。強いて言えば夏目漱石『明暗』と二次創作の水村美苗『続 明暗』ですが、論評できる素養はないしので次点に。
RASEN-KAIDAN

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今年読んだ本のベスト8 ②】
[小説部門ベスト3]
〈3〉鈴木光司/エス (2012年)
〈2〉松本清張/神々の乱心 上・下 (1997年)
《1》太田愛/犯罪者 上・下 (2012年)

〈3〉十代の頃に読んだリング・シリーズの続編。種明かしにゾクゾクするが、姉妹篇の『タイド』は逆に広げすぎ。
〈2〉昭和初期の新興宗教を舞台にした殺人。現代の総理周辺にも宗教の人脈が目立ち、その機関紙に皇族が出てたとなりゃ読まずにはいられない。
《1》著者は相棒のメインライターの一人。ベビーフードから発生した難病。許認可を得るために政治家の人脈も利用する製造メーカー。モリ・カケの直前に読んだのでガツン!と来たよ。社会・政治部門と合わせた総合1位もこれで決まりだ!

小説はあまり読んでいないのでベスト3が限界。強いて言えば夏目漱石『明暗』と二次創作の水村美苗『続 明暗』ですが、論評できる素養はないしので次点に。
RASEN-KAIDAN

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【今年読んだ本のベスト8 ①】
[社会・政治部門ベスト5]
〈5〉佐野眞一/完本 カリスマ 上・下 (2009年)
〈4〉鹿島圭介/警察庁長官を撃った男 (2010年)
〈3〉山口二郎 中北浩爾/民主党政権とは何だったのか (2014年)
〈2〉松本麗華/止まった時計 (2015年)
《1》豊下楢彦/昭和天皇の戦後日本 (2015年)

〈5〉財界人の評伝なんて興味がないが引き込まれる。ダイエーとサカエがなぜ同じマークなのかわかった。
〈4〉国松警察庁長官を狙撃したと自白した男。公安が主張するオウム説を覆す。
〈3〉左側から嫌われる野田佳彦が社会党出身者を重用。中道が嫌う山口二郎はそんな野田を買う。両方の信者は頭を冷やせ。
〈2〉麻原彰晃の娘として生まれた女性、苦悩の手記。共感しつつも対立するようになった上祐の著書と比べて読む。
《1》沖縄の米軍駐留に拘る昭和天皇。吉田茂すら信用せず池田勇人を吉田の頭越しに密使に使った説。
RASEN-KAIDAN

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【今年読んだ本のベスト8 ①】
[社会・政治部門ベスト5]
〈5〉佐野眞一/完本 カリスマ 上・下 (2009年)
〈4〉鹿島圭介/警察庁長官を撃った男 (2010年)
〈3〉山口二郎 中北浩爾/民主党政権とは何だったのか (2014年)
〈2〉松本麗華/止まった時計 (2015年)
《1》豊下楢彦/昭和天皇の戦後日本 (2015年)

〈5〉財界人の評伝なんて興味がないが引き込まれる。ダイエーとサカエがなぜ同じマークなのかわかった。
〈4〉国松警察庁長官を狙撃したと自白した男。公安が主張するオウム説を覆す。
〈3〉左側から嫌われる野田佳彦が社会党出身者を重用。中道が嫌う山口二郎はそんな野田を買う。両方の信者は頭を冷やせ。
〈2〉麻原彰晃の娘として生まれた女性、苦悩の手記。共感しつつも対立するようになった上祐の著書と比べて読む。
《1》沖縄の米軍駐留に拘る昭和天皇。吉田茂すら信用せず池田勇人を吉田の頭越しに密使に使った説。
whkr

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『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』 永田カビ

いやあ、男のマザコンっていろいろ批判されるけど、女のマザコンも重症化すると酷いもんだ。
私は絵については素人なので、その上手さの指標として表情のバリエーションで測ることがある。これは非常に多彩で上手いと思う。創作の方も読んでみたい。
あと、後半で突然満たされる承認欲求モゴォに笑った。
作中の名言としては「『なまけてる』と『がんばれない』は似てるけど違う」と「まあ、親族のショック死とか気にしてたら、面白い物なんて描けないよな」に納得した。


『一人交換日記』 永田カビ

うむ、このタイトルの企画は、作者本人の生活の変化を表現するのにぴったりだなあ。
前作で、イマイチな服しか持ってないからもっと増やしたいと書いてたのに、結局、今作でも同じような服装なのは、本人の好みの問題か、はたまたお金がないからか。
あと、今まで実家で抑圧され続けてた人が急に一人暮らしを始めたら、やっぱり酒浸りになりやすいのかなあ。

「面倒なこと頼んで恐縮ですが、君ならできると信じていますよ」
希望とは、未来の自分に対する根拠のない信頼なのかもしれない。
Talkiyan_Honin_Jai

今日読んだ本

本村凌二『馬の世界史』(中公文庫、2013年)
 
読んでいて、著者の馬という動物に対する知識と愛情が伝わってきて、非常に好感が持てた。
歴史家であり、かつ競馬ファンでもある著者の面目躍如といったところ。
 
まず、プロローグ「もし馬がいなかったら、二一世紀はまだ古代だった」で、人類と馬との関わり、そして世界史において馬が果たした役割につき提起した後、世界史視点から人類と馬との関わりを記述。
エピローグの「……われわれはこの気高く美しい動物に歴史の負債を返済したといえるだろうか。」という問いかけは重い。
  
個人的には、4章「ポセイドンの変身――古代地中海世界の近代性」と6章「アラブ馬とイスラム世界」が興味深かった。ポセイドンが元々は馬の神だったとは知らなかったし、アラブ馬の起源についても勉強になった。
   
あえて細かいミスを1点指摘しておくと、9章の章扉の挿絵の出典は『太祖実録』ではなく、『満洲実録』。
Talkiyan_Honin_Jai

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本村凌二『馬の世界史』(中公文庫、2013年)
 
読んでいて、著者の馬という動物に対する知識と愛情が伝わってきて、非常に好感が持てた。
歴史家であり、かつ競馬ファンでもある著者の面目躍如といったところ。
 
まず、プロローグ「もし馬がいなかったら、二一世紀はまだ古代だった」で、人類と馬との関わり、そして世界史において馬が果たした役割につき提起した後、世界史視点から人類と馬との関わりを記述。
エピローグの「……われわれはこの気高く美しい動物に歴史の負債を返済したといえるだろうか。」という問いかけは重い。
  
個人的には、4章「ポセイドンの変身――古代地中海世界の近代性」と6章「アラブ馬とイスラム世界」が興味深かった。ポセイドンが元々は馬の神だったとは知らなかったし、アラブ馬の起源についても勉強になった。
   
あえて細かいミスを1点指摘しておくと、9章の章扉の挿絵の出典は『太祖実録』ではなく、『満洲実録』。
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堤哲『国鉄スワローズ1950‐1964――400勝投手と愛すべき万年Bクラス球団』 (交通新聞社新書020、2010年)
日本野球の先駆け的存在であり、アマ球界の強豪でもあった国鉄が野球好きの総裁の下、短期間でプロ球団を作り上げる様子はまさにリアル版『プロ野球チームをつくろう!』。
カネやんのエピソードも面白い。
そしてなによりも印象的だったのは、国鉄が労使一体となって野球への情熱に燃え、球団を応援していたこと、そして各地のJR野球部が今なお伝統を受け継ぎ、強豪であり続けていることだった。
巻末「資料編」の「国鉄プロ野球団設置要綱案」と「国鉄スワローズ登録選手・監督・勝敗」等も資料的価値が高い。
野球ファンとして胸が熱くなる本だった。
Talkiyan_Honin_Jai

今日読んだ本

堤哲『国鉄スワローズ1950‐1964――400勝投手と愛すべき万年Bクラス球団』 (交通新聞社新書020、2010年)
日本野球の先駆け的存在であり、アマ球界の強豪でもあった国鉄が野球好きの総裁の下、短期間でプロ球団を作り上げる様子はまさにリアル版『プロ野球チームをつくろう!』。
カネやんのエピソードも面白い。
そしてなによりも印象的だったのは、国鉄が労使一体となって野球への情熱に燃え、球団を応援していたこと、そして各地のJR野球部が今なお伝統を受け継ぎ、強豪であり続けていることだった。
巻末「資料編」の「国鉄プロ野球団設置要綱案」と「国鉄スワローズ登録選手・監督・勝敗」等も資料的価値が高い。
野球ファンとして胸が熱くなる本だった。
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今日読んだ本

酒井順子『女流阿房列車』新潮文庫、2012年5月
 
昨夜(というか今日)寝る前に読んだ本。
自分も著者と同じく、列車でうたた寝したり、ボーっとしながら流れに任せて移動するのが好きな「ゆる鉄」な方なので、著者の視点には共感できる点が多かった。
特に面白かったのは東京の地下鉄全線完乗の「メトロな女」と東海道五十三次を乗り継ぐ「膝栗毛な女」で、まさに無目的に列車旅をする「阿房」列車の醍醐味!
次は本家の内田百閒の方を読んでみようかと思う。
Talkiyan_Honin_Jai

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酒井順子『女流阿房列車』新潮文庫、2012年5月
 
昨夜(というか今日)寝る前に読んだ本。
自分も著者と同じく、列車でうたた寝したり、ボーっとしながら流れに任せて移動するのが好きな「ゆる鉄」な方なので、著者の視点には共感できる点が多かった。
特に面白かったのは東京の地下鉄全線完乗の「メトロな女」と東海道五十三次を乗り継ぐ「膝栗毛な女」で、まさに無目的に列車旅をする「阿房」列車の醍醐味!
次は本家の内田百閒の方を読んでみようかと思う。
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小林義廣『王安石――北宋の孤高の改革者』(世界史リブレット 人 033)山川出版社、2013年8月
王安石の新法の宋代史における位置づけ、王安石の生涯、新法の内容、新法への批判意見、王安石が行った異論の排除、王安石の持つ輿論観と国家像、そしてその後の王安石と新法への歴史的評価の変遷をコンパクトにまとめてあり、王安石を知る上での良き入門書として読める。
個人的に興味深かったのは、王安石と新法に反対した司馬光は対立関係にあったものの、強い皇帝権力をいただく国家像を志向していたという点で共通していたという著者の指摘。
また、注や表により、当時の人物や官職について丁寧な説明がされており、読んでいて非常に助かった。
Talkiyan_Honin_Jai

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小林義廣『王安石――北宋の孤高の改革者』(世界史リブレット 人 033)山川出版社、2013年8月
王安石の新法の宋代史における位置づけ、王安石の生涯、新法の内容、新法への批判意見、王安石が行った異論の排除、王安石の持つ輿論観と国家像、そしてその後の王安石と新法への歴史的評価の変遷をコンパクトにまとめてあり、王安石を知る上での良き入門書として読める。
個人的に興味深かったのは、王安石と新法に反対した司馬光は対立関係にあったものの、強い皇帝権力をいただく国家像を志向していたという点で共通していたという著者の指摘。
また、注や表により、当時の人物や官職について丁寧な説明がされており、読んでいて非常に助かった。
Talkiyan_Honin_Jai

今日読んだ本

『織田信長』人物叢書、吉川弘文館、2012年
  
『信長公記』と信長発給文書及び先行研究を元に、信長は「英雄」や「革新者」などではなく、自らの「分国」拡大のため状況に応じた実利的な政策を行っていただけであることを地道に記述する良書。
検地・軍役制度の整備ではむしろ時代遅れな面もあったという。
また、文書上の「天下」という言葉の持つ意味の変化についての考察も面白かった。
そして、信長への頑強な抵抗と外様家臣の度重なる謀反は一門・譜代重用、信長への絶対服従という信長の戦争、分国支配のあり方が生み出したもの、つまり信長自身が招いたものだとする著者の指摘には納得。
      
以下、本文の「第八 家臣団と知行制」の締めくくり部分を引用。
    
 戦功を積み重ねても、謀反の心をもたなくても、信長の心一つでいつ失脚するか抹殺されるかわからない不安定な状態に、家臣たちは置かれていた。一門と譜代重視のもと、譜代でない家臣にはより強い不安感があった。独断専行的で、合議の仕組みもなく、弁明・弁護の場も与えられず、家臣に連帯がなく孤立的で、信長への絶対服従で成り立っている体制が、家臣への将来への不安感を高め、謀反を生むのである。
 光秀の謀反は、村重らのように城に立て籠もるのではなく、信長を直接襲撃するという手段に出て成功できた。単独で極秘に策を練り、機を逃さなかったことが成功へ導いた。だが、それゆえに連携がなく、次への確かな展望と策をもつことができなかった。
(p.276)
Talkiyan_Honin_Jai

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『織田信長』人物叢書、吉川弘文館、2012年
  
『信長公記』と信長発給文書及び先行研究を元に、信長は「英雄」や「革新者」などではなく、自らの「分国」拡大のため状況に応じた実利的な政策を行っていただけであることを地道に記述する良書。
検地・軍役制度の整備ではむしろ時代遅れな面もあったという。
また、文書上の「天下」という言葉の持つ意味の変化についての考察も面白かった。
そして、信長への頑強な抵抗と外様家臣の度重なる謀反は一門・譜代重用、信長への絶対服従という信長の戦争、分国支配のあり方が生み出したもの、つまり信長自身が招いたものだとする著者の指摘には納得。
      
以下、本文の「第八 家臣団と知行制」の締めくくり部分を引用。
    
 戦功を積み重ねても、謀反の心をもたなくても、信長の心一つでいつ失脚するか抹殺されるかわからない不安定な状態に、家臣たちは置かれていた。一門と譜代重視のもと、譜代でない家臣にはより強い不安感があった。独断専行的で、合議の仕組みもなく、弁明・弁護の場も与えられず、家臣に連帯がなく孤立的で、信長への絶対服従で成り立っている体制が、家臣への将来への不安感を高め、謀反を生むのである。
 光秀の謀反は、村重らのように城に立て籠もるのではなく、信長を直接襲撃するという手段に出て成功できた。単独で極秘に策を練り、機を逃さなかったことが成功へ導いた。だが、それゆえに連携がなく、次への確かな展望と策をもつことができなかった。
(p.276)
RASEN-KAIDAN

今日読んだ本

村上春樹『1Q84』
302 Found
自分が1984年生まれであり、主人公の二人と同年齢になったのを機に村上春樹に初挑戦、BOOK1・2・3を一度に読みました。合計1600頁以上を一気に読めたのは文章は巧いからだとわかります。
しかしラストで30歳の男女につきまとう煩わしさから離れるのを見ると、『30歳を過ぎて世界の中心で愛を叫ぶのは恥ずかしくないか?』という疑問が湧きます。
殺人やゴーストライターを犯しても咎められないのは御都合主義だし、妊娠のないSEXや『年上⇒十代⇒同学年』という変遷は非モテ男の願望か?
マザ/ドウタや空気さなぎを現実に当てはめれば、人格とキャラの分離に当たるんでしょうか。
読みやすいけど、さすがにノーベル文学賞は無理じゃないかと思います。
RASEN-KAIDAN

今日読んだ本

村上春樹『1Q84』
302 Found
自分が1984年生まれであり、主人公の二人と同年齢になったのを機に村上春樹に初挑戦、BOOK1・2・3を一度に読みました。合計1600頁以上を一気に読めたのは文章は巧いからだとわかります。
しかしラストで30歳の男女につきまとう煩わしさから離れるのを見ると、『30歳を過ぎて世界の中心で愛を叫ぶのは恥ずかしくないか?』という疑問が湧きます。
殺人やゴーストライターを犯しても咎められないのは御都合主義だし、妊娠のないSEXや『年上⇒十代⇒同学年』という変遷は非モテ男の願望か?
マザ/ドウタや空気さなぎを現実に当てはめれば、人格とキャラの分離に当たるんでしょうか。
読みやすいけど、さすがにノーベル文学賞は無理じゃないかと思います。
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今日読んだ本

佐野眞一 『巨怪伝 正力松太郎と影武者たちの一世紀 上・下(文春文庫)』 2000年
302 Found
上下巻合わせて1000頁に迫る分量の文庫版を図書館で借りて読みました。(単行本は718頁)。
警察官僚から読売新聞の経営者に転身、傾いた経営を立て直し朝日・毎日と並べる部数に押し上げる。プロ野球の創立に尽力し、戦後は公職追放を受けるも、解除後はテレビや原発の父と評価されるようになった正力松太郎の評伝です。事業家としての下巻に比べ、弾圧の記述が続く官僚の上巻は重たくて中々進みませんが引き込まれる内容です。

警察官僚時代の正力は社会主義者に徹底弾圧を加え、関東大震災時には朝鮮人暴動の噂を止めずお墨付きを与え、軍や自警団による虐殺を招く。しかし後年日本テレビを開設し、プロレスを目玉番組にしたにも拘らず、在日朝鮮人である力道山との接触を避けている。更に最晩年には自宅の庭に朝鮮産の石を敷き詰め、とりつかれた様に磨いていたという長女の証言にも触れる。とても償いにはなりませんが、彼なりに罪の深さに脅えていたのでしょうか。

裕仁親王暗殺未遂(虎ノ門事件)を招いた責任で1924年(大正14年)に警視庁を退職、読売新聞社長となり、リベラルな執筆者を追放しますが、文筆・絵画などの才能があれば紙面を任せる懐も持ち合わせます。戦後の労働争議では会社の役職から追われますが、正力(正確には務台光雄)が開拓した販売店の店主たちが左傾化した執筆者を嫌ったという事実も、日本の保守層の強さを知る上で見逃せません。

更に近年の自主規制問題とプロ野球に関して書いたものがこちらです。
http://h.hatena.ne.jp/RASEN-KAIDAN/228175949491455103
http://h.hatena.ne.jp/RASEN-KAIDAN/81791368692806580
RASEN-KAIDAN

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佐野眞一 『巨怪伝 正力松太郎と影武者たちの一世紀 上・下(文春文庫)』 2000年
302 Found
上下巻合わせて1000頁に迫る分量の文庫版を図書館で借りて読みました。(単行本は718頁)。
警察官僚から読売新聞の経営者に転身、傾いた経営を立て直し朝日・毎日と並べる部数に押し上げる。プロ野球の創立に尽力し、戦後は公職追放を受けるも、解除後はテレビや原発の父と評価されるようになった正力松太郎の評伝です。事業家としての下巻に比べ、弾圧の記述が続く官僚の上巻は重たくて中々進みませんが引き込まれる内容です。

警察官僚時代の正力は社会主義者に徹底弾圧を加え、関東大震災時には朝鮮人暴動の噂を止めずお墨付きを与え、軍や自警団による虐殺を招く。しかし後年日本テレビを開設し、プロレスを目玉番組にしたにも拘らず、在日朝鮮人である力道山との接触を避けている。更に最晩年には自宅の庭に朝鮮産の石を敷き詰め、とりつかれた様に磨いていたという長女の証言にも触れる。とても償いにはなりませんが、彼なりに罪の深さに脅えていたのでしょうか。

裕仁親王暗殺未遂(虎ノ門事件)を招いた責任で1924年(大正14年)に警視庁を退職、読売新聞社長となり、リベラルな執筆者を追放しますが、文筆・絵画などの才能があれば紙面を任せる懐も持ち合わせます。戦後の労働争議では会社の役職から追われますが、正力(正確には務台光雄)が開拓した販売店の店主たちが左傾化した執筆者を嫌ったという事実も、日本の保守層の強さを知る上で見逃せません。

更に近年の自主規制問題とプロ野球に関して書いたものがこちらです。
http://h.hatena.ne.jp/RASEN-KAIDAN/228175949491455103
http://h.hatena.ne.jp/RASEN-KAIDAN/81791368692806580
RASEN-KAIDAN

今日読んだ本

(・・・続き)
小熊英二 『私たちはいま どこにいるのか』 毎日新聞社 2011年

近年は《1970年パラダイム》が通用しなくなった。《1970年パラダイム》とは新左翼運動の古臭さ、女性や外国人差別への無関心への反発から生まれたウーマンリブや障害者運動。上野千鶴子さんは代表格。既に豊かになり始めたマジョリティーに革命は不可能、在日・アイヌ・沖縄・アジアなどへの加害に目を向けマジョリティーを批判するマイノリティーに注目。経済大国の繁栄はマイノリティーを犠牲にしたものではないか。
これが戦争経験者の高齢化、マジョリティーの豊さが崩れたことで成り立たなくなった、というのが日本のサヨクについて小熊さんなりの要点整理。『社会の変化に比べ思想の変化は15年遅れる』 とも述べているので、2006年頃に始まったロストジェネレーションやプレカリアートから生まれる思想が2020年頃に結実するのか見てみたくなります。
RASEN-KAIDAN

今日読んだ本

(・・・続き)
小熊英二 『私たちはいま どこにいるのか』 毎日新聞社 2011年

近年は《1970年パラダイム》が通用しなくなった。《1970年パラダイム》とは新左翼運動の古臭さ、女性や外国人差別への無関心への反発から生まれたウーマンリブや障害者運動。上野千鶴子さんは代表格。既に豊かになり始めたマジョリティーに革命は不可能、在日・アイヌ・沖縄・アジアなどへの加害に目を向けマジョリティーを批判するマイノリティーに注目。経済大国の繁栄はマイノリティーを犠牲にしたものではないか。
これが戦争経験者の高齢化、マジョリティーの豊さが崩れたことで成り立たなくなった、というのが日本のサヨクについて小熊さんなりの要点整理。『社会の変化に比べ思想の変化は15年遅れる』 とも述べているので、2006年頃に始まったロストジェネレーションやプレカリアートから生まれる思想が2020年頃に結実するのか見てみたくなります。
RASEN-KAIDAN

今日読んだ本


小熊英二 『私たちはいま どこにいるのか』 毎日新聞社 2011年

超分厚い研究本を得意とする小熊英二の時評集。奇しくも東日本大震災の直前に戦後を総括するタイミングで出版された。なぜか見田宗介の引用が目に留まりました。

《北米先住民は白人によって強制移住させられ、祖先が生きてきた山河から離れることで、祖先や子孫とのつながりから切り離され、空虚な『個人』になってしまうことを嘆き悲しんだ》
確かに白人が先住民を迫害したのですが、実は白人も北米大陸へ移住した時点で、イギリスをはじめとするヨーロッパの歴史や国土との関係が切れてしまい、先住民よりも早く空虚な『個人』になっています。たとえ異民族への差別はあったとしても、土地を移住させることで、先住民に対して孤独感を抱える自分たちと同じ思いをさせたと言えるのではないでしょうか。

なぜそんな八つ当たりをしたかと言えば、前のエントリーの元在特会員が話した言葉がヒントになります。
『バラバラの自分たちに比べて、仲間同士で助け合える在日が羨ましい』
これを無理やり北米大陸に当てはめると以下のようになります。
『歴史から切れてしまった自分たち白人と比べて、歴史ある国土と自然が身近にある先住民が羨ましい』

羨ましいなら教えを請うべきところを、嫉妬の暴走から先住民虐殺に至ったと考えてしまいました。正に『怒られそうなことを・・・』になりましたが、そうならないように自制しなければならいと実感します。こんな話を書きましたが、この本の内容は戦後史と現代政治の分析です。
RASEN-KAIDAN

今日読んだ本


小熊英二 『私たちはいま どこにいるのか』 毎日新聞社 2011年

超分厚い研究本を得意とする小熊英二の時評集。奇しくも東日本大震災の直前に戦後を総括するタイミングで出版された。なぜか見田宗介の引用が目に留まりました。

《北米先住民は白人によって強制移住させられ、祖先が生きてきた山河から離れることで、祖先や子孫とのつながりから切り離され、空虚な『個人』になってしまうことを嘆き悲しんだ》
確かに白人が先住民を迫害したのですが、実は白人も北米大陸へ移住した時点で、イギリスをはじめとするヨーロッパの歴史や国土との関係が切れてしまい、先住民よりも早く空虚な『個人』になっています。たとえ異民族への差別はあったとしても、土地を移住させることで、先住民に対して孤独感を抱える自分たちと同じ思いをさせたと言えるのではないでしょうか。

なぜそんな八つ当たりをしたかと言えば、前のエントリーの元在特会員が話した言葉がヒントになります。
『バラバラの自分たちに比べて、仲間同士で助け合える在日が羨ましい』
これを無理やり北米大陸に当てはめると以下のようになります。
『歴史から切れてしまった自分たち白人と比べて、歴史ある国土と自然が身近にある先住民が羨ましい』

羨ましいなら教えを請うべきところを、嫉妬の暴走から先住民虐殺に至ったと考えてしまいました。正に『怒られそうなことを・・・』になりましたが、そうならないように自制しなければならいと実感します。こんな話を書きましたが、この本の内容は戦後史と現代政治の分析です。
RASEN-KAIDAN

今日読んだ本

安田浩一 『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて』 講談社 2012年

架空の『特権』をでっち上げて在日韓国人にヘイトスピーチを繰り返す在特会のルポ。安田氏は在特会に参加する人々と新左翼運動に傾斜した若い頃の自分を重ねていますが、会長の桜井誠が高校時代は優しい顔をしたおとなしい少年だったと記述を言う見ると、私も自分自身と重ねてしまいそうです。
汚い言葉を吐く在特会ですが、私は数百円のピンハネを理由にバイト先の管理職に『会社の犬』と言ったことがあります。ピンハネ分を払えという要求自体を間違ったとは思いませんが、電話越しに『会社の犬』と言った際の私は、街頭で韓国人を罵倒している会長の桜井誠の顔と似ていたかもしれません。

在特会を離れた30代男性が『在日が、なんとなく、羨ましかった』と話しています。
―ヘイトスピーチをかける在特会と闘い、支え合う仲間がいる在日韓国人と比べ自分には何もない―(要旨) 『それに気付いた瞬間、この勝負は負けだなと確信しました』という言葉を引き出します。個々バラバラの自分たちと比べ、仲間がいることが在日韓国人の『特権』に見えたのでは? と安田氏が察する場面が作品の核だと思えます。

それを受けてもう一冊です・・・

RASEN-KAIDAN

今日読んだ本

安田浩一 『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて』 講談社 2012年

架空の『特権』をでっち上げて在日韓国人にヘイトスピーチを繰り返す在特会のルポ。安田氏は在特会に参加する人々と新左翼運動に傾斜した若い頃の自分を重ねていますが、会長の桜井誠が高校時代は優しい顔をしたおとなしい少年だったと記述を言う見ると、私も自分自身と重ねてしまいそうです。
汚い言葉を吐く在特会ですが、私は数百円のピンハネを理由にバイト先の管理職に『会社の犬』と言ったことがあります。ピンハネ分を払えという要求自体を間違ったとは思いませんが、電話越しに『会社の犬』と言った際の私は、街頭で韓国人を罵倒している会長の桜井誠の顔と似ていたかもしれません。

在特会を離れた30代男性が『在日が、なんとなく、羨ましかった』と話しています。
―ヘイトスピーチをかける在特会と闘い、支え合う仲間がいる在日韓国人と比べ自分には何もない―(要旨) 『それに気付いた瞬間、この勝負は負けだなと確信しました』という言葉を引き出します。個々バラバラの自分たちと比べ、仲間がいることが在日韓国人の『特権』に見えたのでは? と安田氏が察する場面が作品の核だと思えます。

それを受けてもう一冊です・・・

RASEN-KAIDAN

今日読んだ本

西部邁×佐高信 『思想放談』 朝日新聞出版 2009年

CS放送で行った思想家をめぐる対談。安倍晋三や西田昌司を持ち上げる姿勢は酷いが、近代や進歩を懐疑的に見る姿勢には時には目を通そうと思わせる、そんな人物が西部邁。近代への懐疑の姿勢だが、例えば『平等は大事、しかし何が平等なのかという基準は歴史的に由来するべき』という具合。左右両極の激突だが新自由主義批判は共通。「競」という字はは二人があい並んでいる意味だと聞くと武田鉄矢の「人と言う字は~」よりはタメになる。

佐高はマルクス主義者が転向して満洲国に協力したことを「生産力信仰」と表現。平等の魅力ではなく生産力向上への毒に魅入られた、みたいなもんか。(私見です) 西部が右翼を裏切る場面が面白い。『臣 茂』と署名した吉田茂を尊皇家ではなく天皇とつながるアピールではないかと批判、自分も嘗て「不逞の輩」の左翼だったと。

歴史に根差さないと言ってアメリカを嫌う西部だが、自分の出身地の北海道も同様に「歴史がない」と言ったりするのが私は嫌でした。アイヌに根ざした近代を阻んだのはヤマトでは? が拭えませんから。しかし田宮虎彦『落城』という小説を引用し、長州に敗れた東北人が老人となってから大東亜戦争の敗戦を喜ぶ場面に共感した、と語る場面には引きつけられます。老人は「薩長の日本」の敗北に喜んでるようですが、保守主義者・西部邁が自身に湧きでる破壊衝動を語ることの魅力を感じます。こういう自分に関わる複数の公共どうしの葛藤を安倍晋三に言ってくれなかったものか。これを左の佐高が引き出したのが対談の成果、何冊かシリーズがあるので通読してみます。
RASEN-KAIDAN

今日読んだ本

西部邁×佐高信 『思想放談』 朝日新聞出版 2009年

CS放送で行った思想家をめぐる対談。安倍晋三や西田昌司を持ち上げる姿勢は酷いが、近代や進歩を懐疑的に見る姿勢には時には目を通そうと思わせる、そんな人物が西部邁。近代への懐疑の姿勢だが、例えば『平等は大事、しかし何が平等なのかという基準は歴史的に由来するべき』という具合。左右両極の激突だが新自由主義批判は共通。「競」という字はは二人があい並んでいる意味だと聞くと武田鉄矢の「人と言う字は~」よりはタメになる。

佐高はマルクス主義者が転向して満洲国に協力したことを「生産力信仰」と表現。平等の魅力ではなく生産力向上への毒に魅入られた、みたいなもんか。(私見です) 西部が右翼を裏切る場面が面白い。『臣 茂』と署名した吉田茂を尊皇家ではなく天皇とつながるアピールではないかと批判、自分も嘗て「不逞の輩」の左翼だったと。

歴史に根差さないと言ってアメリカを嫌う西部だが、自分の出身地の北海道も同様に「歴史がない」と言ったりするのが私は嫌でした。アイヌに根ざした近代を阻んだのはヤマトでは? が拭えませんから。しかし田宮虎彦『落城』という小説を引用し、長州に敗れた東北人が老人となってから大東亜戦争の敗戦を喜ぶ場面に共感した、と語る場面には引きつけられます。老人は「薩長の日本」の敗北に喜んでるようですが、保守主義者・西部邁が自身に湧きでる破壊衝動を語ることの魅力を感じます。こういう自分に関わる複数の公共どうしの葛藤を安倍晋三に言ってくれなかったものか。これを左の佐高が引き出したのが対談の成果、何冊かシリーズがあるので通読してみます。
RASEN-KAIDAN

今日読んだ本

佐高信×鈴木邦男 『左翼・右翼がわかる!』 金曜日 2010年

都知事選で細川護熙を支持してミソを付けた佐高信。優先順位が《脱原発>反貧困》だと映ってしまった。要は左翼と言うよりも井筒和幸のように「憲法9条を支持する保守的なおっちゃん」と言う方が正確。パターナルな左翼の佐高とリベラルな右翼である鈴木邦男の対談。対立よりも共通の「交差点」が多い内容。

佐高
《大本教が弾圧されたのは教組が女性だから男系男子に拘る近代天皇制と相いれないからでは? 戦前右翼の五族協和、混合民族の理念を長所を戦後は左右とも受け継いでいない。満州の建国大学も民族の比率を考えていた。美輪明宏は三島由紀夫の服を選ぼうと店に連れていくと喜ぶ姿を見て「彼は自分の意思で生きてこなかったのでは?」と察した》

鈴木
《新井将敬や前田日明から「日々どうすれば日本人になれるか考えている」と言われた。北朝鮮でよど号犯人グループにあった時、「帰化して朝鮮人になれ、国交回復したら外交官とし堂々と日本に来い」と言った。「三島事件」は自決を迫った25歳のの森田必勝に45歳の三島が引っ張られたんじゃないか? 「森田必勝事件」と呼ぶべき。》

よど号犯の件は一見リベラルに見えて「何がインターナショナルだ」という皮肉にもなっている。三島由紀夫をめぐるエピソードは対談の化学反応。左翼を相手に闘った三島だが、それ以上に強い(自分も含めた?)同性愛者への偏見と闘っていた美輪明宏に魅かれた、という見方はなかなかに面白い。
RASEN-KAIDAN

今日読んだ本

佐高信×鈴木邦男 『左翼・右翼がわかる!』 金曜日 2010年

都知事選で細川護熙を支持してミソを付けた佐高信。優先順位が《脱原発>反貧困》だと映ってしまった。要は左翼と言うよりも井筒和幸のように「憲法9条を支持する保守的なおっちゃん」と言う方が正確。パターナルな左翼の佐高とリベラルな右翼である鈴木邦男の対談。対立よりも共通の「交差点」が多い内容。

佐高
《大本教が弾圧されたのは教組が女性だから男系男子に拘る近代天皇制と相いれないからでは? 戦前右翼の五族協和、混合民族の理念を長所を戦後は左右とも受け継いでいない。満州の建国大学も民族の比率を考えていた。美輪明宏は三島由紀夫の服を選ぼうと店に連れていくと喜ぶ姿を見て「彼は自分の意思で生きてこなかったのでは?」と察した》

鈴木
《新井将敬や前田日明から「日々どうすれば日本人になれるか考えている」と言われた。北朝鮮でよど号犯人グループにあった時、「帰化して朝鮮人になれ、国交回復したら外交官とし堂々と日本に来い」と言った。「三島事件」は自決を迫った25歳のの森田必勝に45歳の三島が引っ張られたんじゃないか? 「森田必勝事件」と呼ぶべき。》

よど号犯の件は一見リベラルに見えて「何がインターナショナルだ」という皮肉にもなっている。三島由紀夫をめぐるエピソードは対談の化学反応。左翼を相手に闘った三島だが、それ以上に強い(自分も含めた?)同性愛者への偏見と闘っていた美輪明宏に魅かれた、という見方はなかなかに面白い。
Talkiyan_Honin_Jai

今日読んだ本

(追伸)それから、著者は若い頃は日本の女性ファンにもかなり人気があり、冗談めかして「元祖韓流スター」だったと書いているくだりはちょっと微笑ましかった。そして、ある日本人女性ファンとの心の交流についても触れている。
あと、アマゾンのレビューでも指摘されているが、日本プロレスの崩壊過程とそれ以降における日本での著者の動向についてほとんど触れられていないのはなんとも残念。
これは本自伝が元々韓国のスポーツ新聞に連載された韓国人読者向けのものであった以上仕方のないところだろうし、また諸般の事情で書きづらい点もあったのかもしれない。
Talkiyan_Honin_Jai

今日読んだ本

(追伸)それから、著者は若い頃は日本の女性ファンにもかなり人気があり、冗談めかして「元祖韓流スター」だったと書いているくだりはちょっと微笑ましかった。そして、ある日本人女性ファンとの心の交流についても触れている。
あと、アマゾンのレビューでも指摘されているが、日本プロレスの崩壊過程とそれ以降における日本での著者の動向についてほとんど触れられていないのはなんとも残念。
これは本自伝が元々韓国のスポーツ新聞に連載された韓国人読者向けのものであった以上仕方のないところだろうし、また諸般の事情で書きづらい点もあったのかもしれない。
Talkiyan_Honin_Jai

今日読んだ本

大木金太郎 著、太刀川正樹 訳『自伝 大木金太郎――伝説のパッチギ王』講談社、2006年
   
著者大木金太郎(金一)の、師である力道山への敬慕の念、弟弟子猪木への特別な思い、日韓和解そして南北統一への情熱が感じられた。
前半はほぼ弟子から見た力道山伝といった趣で、後年になり韓国で横行した力道山への誤解や偏見に強く憤る個所もある。
映画『力道山』の内容についても不満を述べている。本書によると、映画関係者からは一度も助言を求められたことはないらしい(確かに映画は史実とはかなり異なる内容だった)。   
著者は晩年頭突きによる後遺症に苦しめられたが、1960年代にはすでに頭突きに「ドクターストップ」がかかっていたという記述には驚いた。
また、ロサンゼルスでの試合で、現地の韓国人と日本人が一緒になって彼を応援したエピソードには感動した。
プロレス、政界、裏社会にまたがる日韓裏面史、朴正熙政権との関係についての記述はやや曖昧な感じ。いろいろ書きにくい話もあったのかもしれない。
その辺については、柳澤健『完本 1976年のアントニオ猪木』(文春文庫、2009)と併読すればより理解が深まるだろう。 


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