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女性専用車両への批判を切り分ける
女性専用車両への批判を切り分ける

施策の目的への批判
なし

施策の方法への批判
c. 施策の効果の是非
痴漢被害の総量を減らす効果があろうとなかろうと精神的効能はある。
d. コスパやコスト負担のバランスの是非
とくに意見はない。
e. 他のルールやポリシーとの衝突の是非
「差別含みの施策だが、諸々勘案して、許容範囲内」という受容のされ方であるべき。「差別ではない」とか「より大きな問題を解決するためなら正しい」という主張には、与しない。
f. 副次的な悪影響の是非
特段の悪影響はないと思う。

正直、女性専用車両自体は、現状維持で構わないと思う。

私の関心は、社会がそれをどう捉えるか、という点。この件に限らず、恣意的に線を引いて、構造的には同じものを、「これは正しい。些細な批判も不当」と「断固、許せない。排除すべし」に峻別する人々には、憤りを感じている。なんて身勝手なんだろう、と思う。しかも彼らは、それを身勝手だとは認めない。まあ、いい。考えの違いはあっていいのだ。私は私の意見を書く。

差別の構造を持つ仕組みは、一律に「差別である」と認めるべきだ。そのうえで、「これは差別であって、本来は解消すべきだが、諸事情を総合的に判断すると、現状では許容」というのを、社会的なコンセンサスにしたい。そういう枠組みでなければ、価値観の多様化した社会において、共通の議論の基盤となりえないだろうし、ある問題に対処するために導入された手段によって生じる諸問題について、爆発するまで抑圧する体制が今後も続いてしまう。

女性専用車両についていえば、そんな決定的に悲惨な爆発など起きないと思う。大した問題ではない。議論の結論として、女性専用車両の導入を推進した側は、形式的には一切譲らなくて構わない。だからこそ、落ち着いて、話に耳を傾けてほしいのだが。

***

混雑してない電車でも痴漢は発生しているが、それはそれとして混雑を解消したいのであれば、方策は簡単だ。既に、答えは出ている。

・需給が一致するまで価格を上げよ。

答えがわかっているのに、受け入れを拒否し続けてきたのは市民の側。混雑する列車に対して「目標の混雑率を実現するまで、時価で無制限の価格引き上げを認める」ことにすれば、中期的に混雑は解消される。

上がった分の電車賃は、何をどうしても結局は市民が負担することになる。しかし目先の負担回避をどうしてもやりたいなら、企業に通勤交通費の支給を義務付けてもいい。(中期的にそのぶん給与が下がってバランスするだけのことだが)

都市には集積の利益があるから、企業が自ずと集まってくる。政策的に無理に企業を分散させれば、生産性が低下して、結局は労働者の収入が減る。どうしたってフリーランチは存在しない。

結局、「混雑を我慢する」のが、これまでの人々の選択だった。混雑解消のコストは、ほんの少しずつしか、負担してこなかった。当面、劇的な解決策に支持が集まることもないだろう。

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もともとの問題意識にはなかったことだが、今回の「ブーム」で心底ウンザリしたのが、「男性専用車両も作ればいいだろうに」という主張。

「女性が優遇されている、ズルい」という考えで女性専用車両を叩いている人もたしかにいるので、それに対するカウンターなのはわかるけど、「差別だからよくない」と批判している人からすると、完全に間違った反論なのだ。差別だからという理由で白人専用車両に反対する人は、黒人専用車両だって支持しない。なぜそれがわからないのだろう。

「あんたらにはいってない」というならまだいいが、「男性専用車両で解決」といって「はい論破」的な態度を取っている人らは、「差別が問題」という批判を完全に無視している。私だけでなく何人もが明確に述べていることが、どうして目に入らないのか。何なんだこの人らは……と、どんどん怒りが増幅していった。

かつてアメリカで強く批判されて解消された白人専用車両と構図は同じだという批判に対して、「差別者の白人を排除するための黒人専用車両は差別ではない」という反論も、繰り返し出ている。「黒人専用車両だって差別だ」「全ての白人を一律に差別者扱いして排除するのが差別でなくて何なのか」と思うのだが、これもさっぱり理解されない。

別に同意しろとはいってない。相手の主張を踏まえたうえで、どの部分で前提を異にするから結論が異なってくるのか、という考え方をしてほしいのだ。権力勾配を重視して、弱者が強者を排除する「防衛」策は「差別ではない」という考えなら、それはそれで構わない。私とは意見が合わないだけだ。こっちはそうやって、できる限り理解しようとしているつもりなんだが。

……とはいうものの、自分のブコメを読み返してみると、こっちも相手の主張への理解の言葉を添えていない。まず「我が振り直せ」ってことなんだろうし、ああ見えて、あちらさんもこちらの主張は理解してくれているのかもしれない、と思って落ち着いた。